お客さんのお家から帰るときに、いつも気になることがありまして。
まぁ、なんてことないうえに気にしすぎかもわからないんですけど、お客さんが鍵をかけるタイミングっつーのが、すっげー気になるんです。
「ありがとうございました、失礼します」っつって玄関を出るんですけど、ありがたいことに大半のお客さんが見送りをしてくれるんですね。
大変ありがたいんです。ありがたいんですけど、その見送りの理由の8割は『家の鍵をかけるため』なんですね。
で、扉を閉めた瞬間に『カチャッ』っていうパターンだと、少し考える部分があるんです。
まぁいいんです、いいんですけど、こっちサイドとしては「用が済んだなら早く帰れや」的な感じも若干するんです。「賢者タイム無しですか?」的なね、ちょっと考えちゃうんです。
まぁ、別に気にしないんですけどね。でも「お客さんとの良好な関係が築けなかったのかなー」っつって、少し考えたりもします。
一方で、ちょっと離れてから『カチャッ』ていうパターンの場合。お客さんは、こっちに聞こえないと思って鍵をかけたんじゃないかっつー距離です。
「気遣わせちゃったなー」って思う部分もあるし、なにより察してしまったことに対する罪悪感といいますか。
きっと年頃の息子が隠してるエロ本を見つけたときの母親のような心境ってこんなんだろうなーっつって。母親でもなければ、息子もいませんけど。
あと、こちらが車で出て行くまで見送ってくれるパターンもありまして。
これはもう完全に、お客さんと極めて良好な関係を築けたと言えるんですが、なんにせよこっちが気を遣います。「早く出なきゃ!」みたいな。
こっちとしては次の現場のナビを打ってから出発したいんですけど、エンジンかけてからスタンバイの時間が結構長いじゃないですか?
「お客さん見送りに出てきてくれてるしなぁ・・・」っつって、ナビを打たずに出るんですけど、本来行くべきだった方向と逆に行ってしまったり、なにより停まってナビを打たなきゃいけないっつー手間とかね、すごく面倒なんですよ。
これまで書いてきたこと全部、お客さんは全然悪くないんですけどね。
どんなパターンでも、何か考えずにはいられないんで。
「じゃあ自分ではどうしてるんだ?」って思って考えたんですけど、ちょうど先ほど運送屋さんが来てくれました。
荷物を受け取ってお礼を言って、見送りはせずに玄関で扉が自然に閉まったあと、トラックが出て行くまで耳をすまして待っている自分がいました。
「自分でも引くわー」っつって。
ところで、なんかの感覚に似てるなーって思ったら、トイレの個室に入ってる人がいるときに似てるなーって思いました。
女子トイレの場合はわかりませんけど、男子トイレって用途に応じてパターンも分かれてるんですね。ここでは大きい方をAとします。
誰かがAパターンのときに自分がトイレに入っていったとき、ここで元々Aパターンを遂行していた人が、他人どーこーを気にすることなく自分のペースを守れる屈強な人なら別にいいんですけど、大体の人はBパターンの人の動向を気にするんじゃないかなーって思うんです。
おりはトイレに入ってAパターンの人がいた場合、まず咳払いをして「今からBパターンに突入する」ということを暗に伝えます。
そこで物音が一切しない場合は、Aパターンが停滞していることを意味している可能性が高いため、おりは全力でBパターンを遂行。
そして、ジェットタオルはいつもより少し長めに。
一方で、おりがAパターンのときです。
誰かの足音が聞こえてきたら、ひとまずAパターンを保留しBパターンを優先。Bパターンが無事完了するまで耳をすまして待っている自分がいることでしょう。
しかし、そこで新たにBパターンの追加部隊が出現したりして、Bパターンも難航してるかもしんないっつって、それでもこちらは保留。引き続き耳をすまして待ちます。
ひどいときにはCパターンが現れまして。若いお兄ちゃんが髪の毛のスタイリングを始めたりします。ここは耳をすましてても始まらないので、仕方ないっつって水を流しながら乗り切りますけど。
こっちでも耳すましてたーっつって。
運送屋さんのときだけでなくトイレでも耳すましてたーっつって。
たぶん、音姫押したらカントリーロード流れる。