ディペートで墓穴を掘って論破された想い出。

中学入りたての頃にJ-POPに興味を持って、色々聞くようになりました。周りは小学校の後半くらいから、やれミスチルが、やれSPEEDがって言ってましたけど、おりが小学生の頃は全く興味なかったです。

『終わりの会』でLINDBERGとか唄わされても、まったく響いてきませんでしたから。

それが中学校に入るや否や、学校帰りに唄ったり、お風呂に入ってる最中に唄ったりと、まぁちょっとした『のど自慢』を頻繁に開催するようになりまして。

GLAYから入ってXを聞くようになりBOOWYに至るって感じです。

本当に色んな音楽を聞いてきたんですけど『相川七瀬さん』が当時好きでした。世間はアムラーなんて言われて安室ちゃん一色でしたけど、当時のおりはお子ちゃますぎたのか、安室ちゃんの良さがイマイチわかってなかったんです。

そこで注目してたのが相川七瀬さんでして、ルックスもさることながら歌も上手で、かつ不良チックなもんで。もうメチャクチャ夢中になりました。

ただ、残念ながらお金が無くてCDが買えなかったんですね。MDってのが当時あったのかなー、あったとしても高くて買えなかったので、カセットテープに入れて聴いてました。それも歌番組から録音したやつを聴いてました。

今考えると懐かしくて笑っちゃうんですけど、最後にタモリさんの声が入ってたりしてね。当時の『シングル1枚1000円』って価格設定は、とてもじゃないけど無理です。

かと言って『借りる』って選択肢もあんまりないんですよ。田舎だったせいか学区内にTSUTAYA的なものが無くて。あ、学区内とか懐かしいですね。

サンタローズとかアルカパ付近ですね。祠を通るとラインハットでしたっけか?パパス抜きじゃ行けないとこですね、はい。

ちなみにTSUTAYA的なものがあったとしても、未成年は確か会員になれなかったような気がします。ウチの親はそういうものに理解がなくて賛同も得られず。

なので周りのお金持ちの友達からCDを貸してもらってテープに録音したりしてました。ただ、時に「借りっぱなしも悪いなー」って子供ながらに思って、お小遣いの数カ月分で初めてCDを買ったんです。

忘れもしません、相川七瀬さんの『paraDOX』ってアルバムを買いました。

もうね、パラドックスって言われたところで意味とか全然わかんないんですよ。パラドックスって曲が入ってるわけでもないですし。

なんならこっちの英語力なんて、相撲がSUMOだってことに納得できないレベルなわけで。SUMOUじゃねーの?っつって。

今なら「オーケー、グーグル!」とか呪文唱えてシャシャシャってやったら答えが出るんでしょうけど、当時パソコンなんて持ってませんから。

まぁパラドックスってのが英語なのかギリシャ語なのか、ただの数学用語なのかは今もわかってません。わからなくても31年くらいは生きてこれました。

そんなわけで意味は全然わからないんですけど『パラドックス』って言葉の響きが好きでね、もう話の随所にパラドックスってねじ込んでたんです。

中学のときに授業の一環で定期的に『ディベート』をやりました。議題としては『テレビとラジオ、どっちが面白いか』的な比較的やりやすいやつです。

自分では明らかにテレビの方が面白いって思ってるのにラジオの魅力について熱く語らなきゃいけない場合がある面倒なアレです。

おりは内心「くだらねー」っつって、テレビ側で高みの見物を決め込んでるわけです。もう「出来レースでしょ」くらいの感じですよ。だってテレビの方が面白いですもん。

自分の思ってない方に振られたら難しいですけど、これは勝ち確でしょっつって黙って見てました。

まぁ中学生くらいの討論ですから、テレビ側の猛攻撃なわけですよ。「めちゃイケが面白い」だの「ボキャブラ最高!」だの。もう完全にラジオ側がレフェリーストップ寸前でして。

でもラジオ側リーダーの委員長っぽい奴がちょっとイキって、角度を変えてくるんです。「ラジオは災害時なんかも場所を選ばず聴くことができて便利だ!」と。

なぜか知らないんですけど、これにテレビ側一同「や、やられた!」的な感じになって、一気に形勢逆転します。きっと桶狭間で負けた今川義元ってこんな感じだったんだろうなーっつって。

「停電時にもラジオは使えます!」とか委員長が言ってくるわけです。マルオくんみたいなポンポコリンが「ズバリ便利でしょう!!!」とか言ってくるわけです。

今川家の失態を2度も繰り返すわけにはいかないと。「マルオくんに信長の役は荷が重すぎるんじゃないかい?」っつって。ここでおりが「ちょっといいすか?」って軽く手を挙げて発言の権利を得たあと、大きい溜息をつきながら第一声でかまします。

「みなさんが今喋ってるのって、あくまで利便性の話であって、議題にある『テレビとラジオ、どっちが面白いか』って論点からかけ離れてません?」って、ちょっと政治家っぽい口調で言ってみるんです。

ポイントは『利便性』ってワードです。便利だなんや喋ってるところに出てきた飛び道具。騎馬でガチャガチャやってるところに、颯爽と登場した火縄銃みたいな感じです。「利便性って・・・コイツ・・・できる」みたいな空気になります。

まぁ普通に喋ってるこっちも、便利性と利便性の言葉の違いはわかってないんですけどね。当たり前のように喋るのもポイントで「ん?利便性って便利性みたいなこと?」って、みんな思ってるけど誰にも聞けないっていう年頃の精神状態に付け込むのが理想です。

ここで、もう完全に流れを持ってきました。なんなら東南の風とかめっちゃ吹いてます。ほんで「論点からかけ離れてる」って部分を指摘した後「まぁ一種のパラドックスみたいなもんなんですけど、単純に視覚と聴覚で楽しめるテレビの方が面白いです、はい」っつって、発言にピリオドを打つわけです。

みんなね、すごい眼差しで見てきます。「ピリオドの向こうに連れてってー」くらいの感じになります。

大半の人が「なんかよくわからないけど、すげー!」的な感じになります。でも、それでいいんです。なぜなら、それを言った本人が多分1番わかってないですから。なに?パラドックスって。

多分ね、パラドックスって言葉の響きがカッコ良すぎるんです。エターナルとかフォーエバーとかインフィニティとか響きイイじゃないですか?インフィニティに至っては未だに意味とかわかってないですけど。

しかもパラドックスってのが何なのかわからなくても『みたいなもの』って表現することによって、無数の逃げ道も生まれてます。

「人生って一種の筋トレみたいなもんじゃないですか?」叩かれて叩かれて太くなっていくというか、困難を乗り越えて成長するって意味で。

「山芋って一種の愛情みたいなもんじゃないですか?」調理してもいいし生でもいけるしカタチに捉われないというか、むしろ、いろんなカタチがあるって意味で。

言い出したらキリが無いくらい、もう何でもアリです。

織田軍の軍勢なんてちょろいもんよーっつって。まろが最強でおじゃるーっつって。盤石の態勢でもってラジオ側の反撃を待ちます。まぁ、こっちの勝ちに揺るぎはないですけどね、楽勝でしたけどね。ラジオ側の委員長とか意気消沈してますもん。

そしたら向こう側の完全に何もわかってない不良的な奴がボソっと言うわけです。「ラジオって聴くだけだから想像力が働くじゃん?完全に乳首見えてるより、ニットの毛糸かなんかで乳首ギリ見えてないくらいの方が興奮するし、むしろ楽しいんだけど」と。

この一言が、まさかの戦場に雨をもたらします。火縄銃使えなくなって、男子の票数が全部さらわれてしまうわけです。やべーやべーってなるんですけど、テレビ側は完全におり頼みみたいな空気になってるんです。

「兄さん!なんかあっちのチンピラがわけわかんねーこと言ってますぜ!得意のパラドックスでやっちゃってくださいよ!」的な感じになってるんです。

自然とおりのところにマイクとか運ばれてきたりして。

「まぁ、想像力ってのも重要ですけどね。でもテレビっていいですよ。ラジオっつったら耳が聴こえない人は楽しめないし、その点テレビなら耳が聴こえない人も目が見えない人もどっちも楽しめますよ。まぁ利便性がね、優れてるんですよね」って余裕かましながら言うわけです。

そしたらさっきまでその辺で倒れてたマルオが息を吹き返してですね。「ズバリ!あなたが言っていることは利便性の話であって、議題にある『テレビとラジオ、どっちが面白いか』って論点とは、かけ離れてるでしょう!」と言ってきました。

「あ、、、やべっ」っつって。

子供をさらったワニが「オレが今から何をするか当てたら子供は返してやろう。ただし間違ったら子供は食べる!」的なことを母親に言ったときに「あなたは私の子供を食べるでしょう」と切り返した母親のあの感じ。正解が何にせよ、食べれなくなっちゃったあの感じ。

いつまでも亀に追いつけないあの感じだわーっつって。完全にやられたわーっつって。いわゆるパラドックスみたいな感じに陥って、最終的に負けた思い出なんかと混ざり合って、パラドックスって言葉は今も大好きです。

でも今はインフィニティもといインティライミの方が好きです。

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